土曜日の午後、陽が西に傾きかけた頃、私は家の掃除を終え、洗濯物を取り込んでいる最中、美多民は我が家を訪ねてきた。
我が家に上がると、彼女は機関銃のように喋りだした。仕事で地方に行ったこと、失敗談、友人達の近況報告など、私が口を挟む機会が無いほどの勢いだった。
美多民は、学生時代からの親友で、現在ルポライターとして各地を飛び回っている快活な女性で、ショートヘアでスタイルも良くなかなかの美人だ。仕事が忙しいためか最近は、あまり会っていない。また、私が当ブログを綴っていることを知っている唯一の人物でもある。
彼女は一通り喋り終えると、「はい、約束のお土産!」と、小さな包みを差し出した。
包みの中は何やら肉のような物が入っている。彼女の説明によると鹿の肉らしい。珍しいから購入したけど料理する暇が無くてと釈明した。
今夜はこの肉で料理を作り、乾杯をして泊まっていくことに話が決まると、早々料理に取り掛かった。肉は二種類で、一つは鹿刺し、一方は唐揚げを作ることになった。
不足材料の買出しとともに、アルコールの物色、彼女の奨めで冷酒を購入することになった。
料理を作りながら交代で入浴を済ませ、お互いにバスローブと頭にタオルを巻いた状態で食卓に向かい合って座った。
小さなグラスに冷酒を注ぎ、久しぶりの再開を祝って乾杯、冷酒は予想以上に口当たりが良く、鹿刺しや唐揚げの美味しさも手伝ってスイスイと飲んでしまった。
女性の食欲は侮れない、作った料理をすべて食べつくし、冷酒もすべて飲み干した。
お互いに少し赤くなった顔を見合わせて指を指して大笑い。片付けを済ませると、テレビを見ていた美多民は舟こぎ状態、身体を冷やさぬようベッドに連れていこうとすると、私にもたれかかってきた。抱き合った状態でしばし沈黙・・・
抱いた彼女の身体が温かい、以前、一緒に風呂に入り背中を流し合ってキャーキャー騒いだこと、一緒に寝たとき身体を触りあってクスクス笑ったことを思い出した。
彼女を椅子に座らせ、冷水を一杯飲ませると「酔ったフリだよ~ん」と舌を出しておどけてみせる。これもお茶目な彼女の一端、憎めない人だ。
二人でベッドに入る、セミダブルなので少し窮屈だが身体を寄せ合えば寝れる。
美多民は私の首の下に左腕を入れてきた、右手で私を抱え向かい合って抱擁される形となって話を始めた。仕事で精神的に疲れていること、でも結婚して家庭に入る気にもなれないことなど、オタクの私とは異なる悩みを抱えているようだ。
話が途切れたとき、軽く美多民にキスをしてみた。挨拶代わりに軽くキスをすることが以前にもあったので、ごく自然な成り行きだったのかもしれない。美多民も私に唇を寄せてくる。私は悪戯心で美多民の口に舌を入れると、美多民も舌を入れ返してきた。
美多民は私を仰向けに寝かせ、二人の舌が絡み合うような長いキスとなった。
ふと気がつくと、私のバスローブのヒモは解かれていた。美多民はバスローブを脱ぐと私の前を開き胸を合わせてくる。美多民の豊かな胸が私の小さな胸を覆い隠す。ショーツ一枚の女が二人、重なり合ってもう一度お互いの口を求め合うようなキスをする。
美多民の口は私の耳へと移動し唇と舌での愛撫に声が少し漏れてしまった。さらに美多民の口は私の首筋へと移動する。ソフトな愛撫に私はゾクゾクするような快感を覚え身体がピクピクと反応する。美多民は舌をなぞらせるように下がり私の胸へ到達すると、乳首を舌で転がしはじめた。私の乳首が硬くなっていくのが自分で感じる。自分で触っても、このような感覚は得られない。美多民は口で私の乳房をもみ上げたり、吸ったり、舌を使っての愛撫を続ける。気持ちがいい、呼吸も速くなっていくのがわかる。
美多民の右手が私のウエストから腰、太ももへと下ると今度は内股を指先が触るか触らないかくらいのタッチで這い上がってくる。 これには私も大きな声が出てしまった。
美多民は顔をあげ、「もう少しいい?」とあっけらかんな声で言う。私はつられて、うなずいてしまった。私の内心はここでやめてもらいたくないと思っていたのかもしれない。
美多民の右手が私のショーツの中に入ってくる。そのまま秘所へは向かわず後ろへ移動し中指が尻の谷間へと入ってくると私はのけぞった。その瞬間、ショーツが一気に膝下まで下げられ、そのまま脱がされてしまった。バスローブの袖に腕を通したまま後ろ手に固定され、全身をさらけ出す無防備な格好に私は目を閉じた。
美多民の右手が下腹部から秘所へと移動する様子が目を閉じていてもはっきりわかる。 すでに濡れかかったその部分は、簡単に一本の指を受け入れてしまった。
一度指が抜かれ、今度は二本の指が入ってくる。細く長い指が絶妙な動きで体内の粘膜を刺激すると同時に親指で敏感な突起を刺激してくる。
私は声を発せずにはいられなかった。美多民は私の両足の間に身体を入れ、寝返りさえ許されない格好で指を動かし続けた。
どのくらいの時間、責められたのだろうか、私は胸を大きくうねらせ達してしまった。
身体中の力が抜け、ぐったりとした私にキスをした美多民は私を抱えて眠りについた。
翌朝の目覚め、美多民と顔を合わせるのがはずかしい、おそるおそる顔を上げると美多民は私の顔を覗き込んでいる。しかもまだ全裸の状態だ、私は恥ずかしさを隠すために「お目覚めのキス」と一言、軽いキスのあと美多民は、「昨夜は楽しかった、あなたのおかげで気持ちの整理がついた、もう少し仕事を頑張ってみる、ありがとう」と言うとショーツ一枚の姿でベッドから下り服を着はじめた。
私は、焦ってショーツを探すと、美多民は「これかな?」と指でつまんでヒラヒラと振ってみせる。どこまでもお茶目な人だ。
美多民は、次の仕事の準備があるからと、早々に出て行った。私は、細いジーンズが良く似合うその後姿が雑踏の中に消えるまで見送ると、シーツを洗濯機に放り込み椅子に座った。まだ身体に残る昨夜の感触を思い出すように、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
と、勝手な妄想をしてみる。欲求不満かな?